9/28 10:00-18:00
9/29-10/21 10:00-18:00
ニュイ・ブランシュKYOTO 2024では関西日仏学館(京都)と二本松学院、フランス「メートル·ダールとその弟子協会」の共催で、フランスのメートル・ダール(工芸巨匠)と日本の人間国宝工芸作家の作品と匠の技を紹介します。
京都伝統工芸館に展示されるのは、G. ブノワ氏 (ベルベット成形・染色・プリント、エンボス加工)、V. コラ・デ・フラン氏(麦わら象嵌細工)、I. エメリク氏(漆芸)、F. ホフマン氏(フェルト製作・造形芸術)、W. ジョリー氏(金銅細工・デザイン)、B. ロワール氏(ガラス工芸)、P. ニコラ氏(グリプティック(宝石彫刻)、宝石・硬質石細工)、H. オブリジ氏(グリプティック(宝石彫刻)、宝石細工・硬質石象嵌細工)フランス「メートル·ダールとその弟子協会」会長ピエール・ルヴェルディ氏(ダマスカス鋼・ナイフ芸術装飾)、また、日本の木工芸の人間国宝であり、京都伝統工芸大学校(TASK)で教鞭をとる村山明氏、同じく木工芸の人間国宝であり、京都美術工芸大学(KYOBI)教授の宮本貞治氏の作品です。約二十数点の作品が並びます。
展示期間中10/7-11までトークイベントも開催します。合わせてお楽しみください。
共催: フランス「メートル·ダールとその弟子協会」、学校法人二本松学院、京都伝統工芸大学校(TASK)、京都美術工芸大学(KYOBI)、京都伝統工芸館
パートナー機関 : フランス文化省(Ministère de la Culture)、関西日仏学館、ミケランジェロ財団(Michelangelo Foundation)、一般社団法人TAKUMI - Art du Japon
協賛 : カルティエ(Cartier), Ciel des jeunes, フランス国立印刷局(Imprimerie Nationale), Rotortrade
10月11日のトークイベントについては下記からお申し込みください。
こちらのから
*トークのプログラムの詳細については「EVENT」セクションをご覧ください。
村山 明 (木工芸)
1944年兵庫県尼崎市生まれ。京都市立美術大学(現、京都市立芸術大学)彫刻科卒業後の1966年より黒田辰秋(人間国宝)に師事。2003年、重要無形文化財「木工芸」保持者に認定。 2005年紫綬褒章受章。自作以外にも黒田辰秋の作品修復を多数手掛ける。
宮本 貞治 (木工芸)
黒田乾𠮷氏(木工芸作家黒田辰秋氏(人間国宝)の長男)に師事。
独立後、滋賀県湖西に工房を構え、創作活動を行う。
日本伝統工芸近畿展、日本伝統工芸近畿賞ほか5回受賞、日本伝統工芸展、第50回展記念賞ほか4回受賞、伝統工芸木竹展、文化庁長官賞ほか4回受賞、その他受賞多数。
滋賀県指定無形文化財技術保持者。紫綬褒章受章。重要無形文化財保持者(人間国宝)。
イザベル・エメリク (漆芸)
メートル・ダール 歴 2006年より
1978年フランス国立高等工芸美術学校(ENSAAMA)パリを卒業。1986年に漆芸職人として活動を始める。また、1999〜2021年まで、フランス国立高等工芸美術学校(ENSAAMA)パリで、教授として活躍する。2006年、メートル・ダールの称号を授与され、パリの工房で弟子のマリー・ド・ラ・ルシエール(Marie de la Roussiere)に知識のすべてを継承した。
講演概要:
「漆芸:日本とフランスで共有されている工芸の昨日、今日、そして明日」
・主にヨーロッパの漆器に焦点を当て、歴史的な観点について語り、漆器芸術に対する新たな解釈を提供
・ヨーロッパで漆器を作る、新しい世代のアーティストについて
・「伝承」について
ヨーロッパで漆芸を教える唯一の学校である、フランス国立高等工芸美術学校の例
師弟間の継承の成功例:イザベル・エメリクとマリー・ド・ラ・ルシエール
ウィルフリッド・ジョリー(金銅細工・デザイン)
メートル・ダール の弟子として活動中
フランス国立高等工芸美術学校(ENSAAMA)の他リヨン、ボルドーで応用美術を学ぶ。その後、独学の創作金細工師である、巨匠ローラン・ダラスプ(Roland Daraspe)に出会い、専門知識、ビジョン、そして、非鉄金属の扱いを習得する。大量生産とは一線を画す、デザイナーの目線で生まれる独自の創作を好む。伝統的な技法と現代的な技法を使い分け、多岐にわたるテーマで、現代的なアートオブジェを想像し、デザインし、制作している。
講演概要:
「継承: 金細工と銅細工」
・デザイナーとして受けた教育
・使用している技術と道具
・素材:フランスにおける貴金属の名称
・装飾の施し方
ブルーノ・ロワール(ガラス工芸)
メートル・ダール の弟子として活動中
ブルーノとエルヴェ・ロワールは、メートル・ダール(2013年)の1人である、ジャック・ロワールの息子であり、1946年にロワール工房を設立したガブリエル・ロワールの孫でもある。ジャック・ロワールの弟子であるブルーノとエルヴェは、10人の職人たちと共に民間建築や宗教建築のステンドグラスを制作している。 日本では、箱根彫刻の森美術館(1975年、ガブリエルとジャック・ロワール作)や、2023年11月に完成した大阪の保育園の80m²の大型ステンドグラスなどの作品がある。
ブルーノとエルヴェは、パリのルーヴル美術館所蔵のフランソワ・モルレ作品、アングレーム大聖堂やトゥールーズのサン・セルナン大聖堂のジャン=ミシェル・オトニエル作品など、コンテンポラリーアーティストと共同でステンドグラスを制作し続けている。
講演概要:
「シャルトル発、世界中で輝くロワール工房の4世代のステンドグラス」
・画像を通して、4世代に渡って創作を続けてきたロワール工房を紹介
・美学と技術
・コンテンポラリーアーティストとステンドグラス
・発注者や建築家との会話:成功の秘密
フランソワーズ・ホフマン(フェルト製作・造形芸術)
メートル・ダール歴 2008年より
パリ・ソルボンヌ大学演劇学科で学んだのち、女優、演出家として10年間活躍。
1995年、リヨンのシャゼル帽子美術館の工房で帽子製作技術を学び、フェルトと出会う。
2004年、ランバンのためにジャカード・ベルベットの作品(ブートン・ルノー製)を制作。
ホフマンの作品はリヨンとルーベの美術館に展示されている。
羊毛フェルトは、既知の織物の中で最古のものと考えられている。現代のデザイナーであるホフマンがその実用的な価値を認めていることは、寒さや他の環境障害を乗り越え生き残るために、人類が古代から発達させてきた技術と伝統の豊かさを物語っている。
講演概要:
「伝統的な技術を駆使した、廃棄物ゼロに向けての革新」
・現代の「廃棄物ゼロ」ファッション・デザイン
・「布フェルト」技法
・古来の知識のイノベーションへの活用
・ファッション産業における繊維廃棄物の削減
ヴァレリー・コラス・デ・フラン(麦わら象嵌細工)
メートル・ダール の弟子として活動中
2000年から2014年まで、リゾン・ド・コーヌに師事。アール・デコの時代が、インスピレーションの宝庫。モンドリアン、ヴァロトン、ホッパーなど、単に彼らの作品の線と色彩を愛しているだけでなく、彼らの単純性という哲学が常に、フォルムや情景のエビデンスを追求するコラス・デ・フランの原動力になっている。ジャズやバロック音楽はしばしば制作中の動作に寄り添い、自然もいつでも重要な栄養源である。
講演概要:
「麦わら象嵌細工の過去と現在」
・ヨーロッパの麦わら象嵌細工の歴史
・麦わら象嵌細工がどのようにして再び流行の兆しを見せているか
・この創作がどのように環境問題に答えられるか。最もシンプルな素材のひとつである藁の手仕事はどのように評価されているか
・この工芸の実践方法について
エルヴェ・オブリジ(グリプティック(宝石彫刻)、宝石細工・硬質石象嵌細工)
メートル・ダール歴 2015年より
彫刻家であり、現代家具、オブジェ制作を行う。オブリジの作品は、硬質石を用いた象嵌細工の図像学的、鉱物的な提案を一新するものである。大胆なグラフィックの選択と、貴重な素材と一般的な素材を組み合わせることで、オブリジは過去数世紀続いていたバロックスタイルから離れることを可能とした。エレガンス、純粋さ、貴重さが特徴。
講演概要:
「象嵌彫刻、グリプティック(宝石彫刻)と硬質石」
・工房の様々な写真を通して、グリプティック(宝石彫刻)の仕事を紹介
・ハイジュエリーブランド(カルティエ)、国立美術館(ルーブル美術館、ヴェルサイユ宮殿など)のために修復または保存された様々な作品を通して、何世紀にもわたる歴史の旅
・硬質石象嵌細工作家の技法の発展や美学を理解するための基礎として、オブジェや象嵌細工の制作の様子を写真で紹介
ジェルマン・ブノワ (ベルベット成形・染色・プリント、エンボス加工)
メートル・ダールの弟子として活動中
1997年、リール政治学院卒業。
2006年から2009年まで、イヴ・ブノワ(メートル・ダール 2005年より)に師事。
べルベットにレリーフ状に染色・プリントする古来の技法は、ボンヴァレ王立製作所(Manufacture Royale Bonvallet )独自のもの。染色のコントラストと浮き彫りのモチーフによる立体的な効果で、類まれな仕上がりをもたらす。18世紀のクラシックから現代まで、3世紀の歴史を持つベルベット工芸を現代に伝える。
講演概要:
「1756年以降のアミアン市のベルベットとエンボス加工 専門技術の歴史」
・地理と歴史的背景
・17世紀後半から18世紀初頭
・18世紀から1940年代まで
・1940年から2000年まで
・2005年から現在まで
フィリップ・ニコラ(グリプティック(宝石彫刻)、宝石・硬質石細工)
メートル・ダール 歴 2008年より
水晶、ルビー、ラピス、サファイア、メノウ、ジャスパー、トルマリン、ルベライトなど、すべての鉱物素材、その色、性質を知り尽くし、グリプティシャン(象嵌彫刻作家)という稀有な職業を実践している。それは、直接カッティングを行うことで、高級石や硬い石に彫刻や装飾を施す専門職である。ニコラの作品は、ジュエリーの制作やフランス学士院のアカデミー会員の剣の装飾に使われることもある。若くしてイヴリー・シュル・セーヌ市に最初のアトリエを開き、サラヴァン・フルニエ財団(Fondation Saladin-Fournier)からの賞金で道具を購入し、キャリアをスタートさせた。
2004年、すでに確かな経験を積んでいたニコラは、パリの中心部、ヴァンドーム広場のすぐ近くにアトリエを構えた。顧客には、ジャール(Joel Arthur Rosenthal)、ディオール(Dior)、カルティエ(Cartier)といったジュエリー界の大物も名を連ねている。
2010年、カルティエ・インターナショナルの会長兼CEOであるフォルナス氏は、彼の専門技術を後継者たちに伝えるため、カルティエ内にアトリエを開くことを承知した。
講演概要:
「グリプティック(宝石・硬質石彫刻)の芸術」
・プレゼンテーション:グリプティック(宝石・硬質石彫刻)の簡単な定義と、素材と技法の例
・歴史:紀元前から現代まで、また多くの文化の中で、この工芸がいかに実践されてきたか
・現代:私たちの社会やライフスタイルとはかけ離れた、稀有な工芸
・自身のキャリアと仕事:技術の習得、作品、立場、偉大なメゾンカルティエの工房の創設
・Maître d’Art(メートル・ダール):自分の使命である継承、この芸術を守り続けることの重要性、創造を通しての後継者育成
ピエール・ルヴェルディ( ダマスカス鋼・ナイフ芸術装飾)
メートル・ダール歴 2004年より
1979-1985 「Compagnons du Devoir (職人修業制度)」を通して金属工芸、製図、鍛造を学ぶ。
1986-89年 パリ国立工業創造学校(ENSCI)にて金属工房の創設と運営を行う。2004年、メートル・ダールの称号を受ける。2008年に芸術文化勲章シュヴァリエを受章「メートル・ダールとその弟子協会」会長
講演概要:
「物質に意味を与え、意味に物質を与える」
・何世紀にもわたるダマスカス鋼の歴史概要
・フランスの 「フィギュア」ダマスカス鋼と呼ばれる技法と、自身が新しい技術を導入した方法
・この古代の技法に対する自身の芸術的アプローチ
・4種類の作品紹介:アートナイフ、ハンティングナイフ、コSレクターズピース、現代彫刻